不倫慰謝料を請求する際にやっていないけないこと

文責:所長 弁護士 田中浩登

最終更新日:2025年01月07日

1 不倫慰謝料請求の際にするべきではないことは主に6つ

 不倫をされた配偶者は、何とか配偶者や相手を懲らしめてやりたいという感情を抱えてしまうこともあります。

 ただし、不倫慰謝料請求は、あくまでも法律に則って進められるべきものです。

 特に次に挙げる行為をしてしまう前に、弁護士に相談をするべきであると考えられます。

 これらの行為をしてしまうと、話し合いでの解決が困難になったり、損害賠償責任を負うことや、場合によっては刑事犯罪になる可能性があるためです。

 ①配偶者や不倫相手を脅すこと

 ②配偶者や不倫相手に暴力をふるうこと

 ③不倫の事実を言いふらしたり公開すること

 ④当事者以外の人に連絡をしたり金銭を請求すること

 ⑤不倫慰謝料の支払い以外のことを強要すること

 ⑥配偶者(別居している場合)や不倫相手の家に入って盗聴器やGPSを仕掛けること

 以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 配偶者や不倫相手を脅すこと

 慰謝料を請求するとともに、支払わなければ不倫をしていることを勤務先に伝える、インターネットに書き込む、危険な目にあわせるなど、危害を加えることを伝えると脅迫行為となってしまいます。

 脅迫の罪の問われるとともに、逆に損害賠償責任を負う可能性があります。

3 配偶者や不倫相手に暴力をふるうこと

 当然ではありますが、暴力を用いた慰謝料の支払い請求は違法行為です。

 もっとも、不倫をした配偶者や不倫相手にも言い分があるケースもあり、不倫慰謝料請求の際に言い争いになることもあります。

 このようなときに激昂し、カッとなって暴力をふるってしまうということも、現実的にはないとは言い切れませんが、暴行罪や傷害罪が成立してしまいます。

 このような事態に陥ることを回避するためには、弁護士を代理人とし、できるだけ当事者同士で連絡を取り合わないようにすることが大切です。

4 不倫の事実を言いふらしたり公開すること

 配偶者や不倫相手が不倫をしていることを、近所の人や勤務先に手当たり次第言いふらしたり、匿名掲示板やSNSなどに書き込んで不特定多数が見られる状態にしてしまうと、名誉棄損の罪が成立する可能性があります。

5 当事者以外の人に連絡をしたり金銭を請求すること

 不倫慰謝料の請求は、あくまでも不倫をされた配偶者と不倫をした配偶者、または不倫相手との間の法律関係に基づくものです。

 通常であれば、不倫をした配偶者、または不倫相手以外の人は、法律上不倫慰謝料を支払う義務を負いません。

 そのため、配偶者または不倫相手の勤務先の人や、親、兄弟などに連絡をし、慰謝料を支払うように要求することはできません。

6 不倫慰謝料の支払い以外のことを強要すること

 不倫をされた場合、法律上できることは不法行為に基づく損害賠償金の請求です。

 原則として、慰謝料の支払い以外のこと、例えば職場内の不倫であった場合に不倫相手を退職させることや、不倫相手を遠くに引っ越させることを要求することはできません。

 和解交渉において、慰謝料の支払い以外のことについて当事者が合意した場合には(公序良俗に反しない限り)問題ありません。

7 配偶者(別居している場合)や不倫相手の家に入って盗聴器やGPSを仕掛けること

 配偶者や不倫相手の行動を調査するために、別居している配偶者や不倫相手の家(敷地含む)に入り込んで盗聴器を仕掛けたり、自動車にGPSを仕掛けたりすると、住居侵入罪が成立する可能性があります。

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